湯治
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ナレーター:
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斉藤 範子
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著者:
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山本 周五郎
このコンテンツについて
<内容紹介>
山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。
その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。
<あらすじ>
十一月中旬には姑となる信濃屋の妻おてつから、おたかは姉のおしずと絹女共々熱海への湯治へ誘われた。
「支度無しで」と言われていたが、おしずには支度の出来るような状態ではなかった。次兄の栄二が時々やって来ては金をせびる始末だったのだ。おてつに家の内情を話して、心配いらないとは言われたものの、それでも姉妹は栄二のことが気がかりだった。ただ、栄二はここ二年ほど姿を見せておらず、ようやく家の生活も余裕はないまでも安定しつつあった。
湯治に誘われた日の夕方。おしずは人づてに兄からの手紙を渡されていた。その内容は十両の金策を求めるものであった。実はおしずはおてつに、妹を貰ってくれるなら、栄二を人別から抜くという約束をしていたので、断固とした態度で臨もうとはしていたが、それでも不安を隠せずにいた……
<山本周五郎(やまもと・しゅうごろう)>
1903~67年。小説家。山梨の生まれ。本名・清水三十六(さとむ)。名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。その後も多くの賞を固辞する。江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。代表作には、「樅(もみ)ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「おさん」「青べか物語」「さぶ」などがある。1987年9月には、「山本周五郎賞」が新潮文芸振興会により設定された。
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お秋は村次とは腐れ縁だった。十八の頃に出会ってからはや九年、仕事がものになれば、お秋を苦界の商売から足を洗わせてやる……何度もそう言われ続け、お秋は彼との縁を切れずにいた。その一方で船宿の船頭である藤吉には強く思いを寄せられ、一緒になろうと迫られていたが、村次のこともあり、お秋は断り続けていた。
ある日、店にはおせんという十七の娘がやって来た。借金を抜いて一人が店を出ることになった代わりだった。お秋は世話をしてやり、おせんを気に掛けるが、一方のおせんはなかなかお秋に懐こうとしなかった。
そしてある日、村次が「商売がうまく行かなかった」と、お秋に鞍替えの話を持って来た時、女主人はお秋に対して、おせんの身の上を話すのだった。それはお秋が思ってもみない残酷な真実だった……
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その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。
<あらすじ>
新吉は「やなぎ屋」という、愛想のないじいさんが店主の飲み屋にしばしば通っていた。酒も肴も安いだけが取り柄で、決して美味くなく、常連の付きにくい店であったが、勝手に酔うことが出来る気楽さもあって、新吉は酔いたい時に「やなぎ屋」に通った。
そこで新吉が出会ったのは松という男で、自分の名や年や身の上を話しては「嘘アつかねえ」と念を押していた。新吉は「やなぎ屋」で何度か松に会ったが、気になったのは松の女に対する言動だった。「女は殴りつけて蹴とばすに限る」――その強気の言葉から、かえって新吉は女房の尻に敷かれているであろう松の有様が想像できた。 ある日、新吉は酔い潰れた松を、家まで送ってやるのだが……
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