
セロ弾きのゴーシュ
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📻『セロ弾きのゴーシュ』朗読 – 夜の水車小屋で繰り広げられる音楽と動物たちの不思議な物語🎼🐱
静寂な夜に響くセロの音色に導かれる、不思議で美しい物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の心温まる傑作『セロ弾きのゴーシュ』。
町の活動写真館でセロを弾く係のゴーシュは、仲間の楽手の中でいちばん下手で、いつも楽長にいじめられています。「セロがおくれた」「糸が合わない」「表情ということがまるでできてない」──練習のたびに厳しく叱られ、ついには「きみ一人のために悪評をとるようなことでは、みんなへもまったく気の毒だ」とまで言われてしまいます。町はずれの壊れた水車小屋で一人暮らしをするゴーシュは、悔しさと情けなさで涙をこぼしながらも、夜中まで必死にセロの練習を続けるのでした。
そんなある夜、練習に疲れ果てたゴーシュのもとに、思いがけない来訪者が現れます。最初に扉を叩いたのは、半分熟したトマトを重そうに運んできた大きな三毛猫でした。「シューマンのトロメライをひいてごらんなさい。きいてあげますから」と生意気に注文をつける猫に、ゴーシュはむしゃくしゃした気持ちをぶつけるように、まるで嵐のような勢いで「印度の虎狩」を演奏します。すると猫は慌てふためき、パチパチと火花を散らしながら風車のようにぐるぐると回り始めました。
翌夜には天井の穴からかっこうが降りてきて、「音楽を教わりたい」と真面目な顔で頼みます。「ドレミファを正確にやりたい」「外国へ行く前にぜひ一度いる」と説明するかっこうとの奇妙な音楽レッスンが始まります。「かっこう、かっこう」と一生懸命に叫ぶかっこうとの奇妙な音楽レッスンが続いていきます。
その次の晩に訪れたのは、背中から棒切れを二本取り出した狸の子でした。「小太鼓の係り」だと名乗る狸の子は、「愉快な馬車屋」という譜面を持参し、ゴーシュのセロに合わせてセロの駒の下をぽんぽんと叩き始めます。なかなか上手な狸の小太鼓に、ゴーシュは思わず「面白い」と感じるのですが、狸の子からは意外な指摘を受けることになります。
最後に現れたのは、病気の子供を連れた野ねずみの親子でした。「この児があんばいがわるくて死にそうでございます」と必死に頼む野ねずみのお母さん。ゴーシュが医者ではないと断ると、野ねずみは驚くべきことを告白します。実は近所の動物たちは病気になると、ゴーシュの演奏を聞きに床下にやってきて、その音で病気を治していたというのです。兎のおばあさんも、狸のお父さんも、意地悪なみみずくまでも──みんなゴーシュの音楽によって癒されていたのでした。
毎夜繰り広げられる動物たちとの不思議な交流。猫の生意気な注文、かっこうの真面目な音楽談議、狸の子の楽しげな小太鼓、そして野ねずみによって明かされる音楽の持つ不思議な力。一見ばらばらに見える出来事が、夜の水車小屋で静かに積み重なっていきます。
町の公会堂で開かれる演奏会まで、もうあと十日──。第六交響曲の練習に苦戦し続けるゴーシュと動物たちとの心の交流は、思いもよらない展開を見せていきます。音楽を愛する全ての人の心に響く、成長と友情の美しい調べが奏でられる夜の物語です。
音楽の持つ不思議な力と、努力を続けることの意味が、動物たちとの心温まる交流を通して静かに浮かび上がってきます。下手だと言われ続けたゴーシュが、夜な夜な訪れる動物たちとの出会いの中で発見していく音楽の真髄。それぞれ個性豊かな動物たちとの予想もつかないやりとりが次々と展開されていきます。
セロの音色に込められた想いと、それを受け取る動物たちの純粋な心。音楽を通して結ばれる種族を超えた友情の物語を、朗読でゆっくりとお楽しみください。きっと、音楽の新たな魅力と、努力することの意味を改めて感じていただけることでしょう。
#猫 #人と動物 #芸術 #月