『ボイスドラマ「美織華」』のカバーアート

ボイスドラマ「美織華」

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このコンテンツについて

『美織華(ヴィオリカ)』は、飛騨一之宮の「どぶろく」と、遥か遠いモルドバの「ヴィオリカワイン」をつなぐ、ひとりの女性・美織の小さな旅路を描いた物語です。生まれ育った飛騨高山、そして血の中に流れる異国のルーツ。伝統の酒造りと、家族への想い。ふたつの文化、ふたつの絆が、香り高くひとつに重なっていきます。この物語は、飛騨高山から世界へ発信する番組「Hit’s Me Up!」の公式サイトをはじめ各種Podcastプラットフォームで配信中です。また、「小説家になろう」サイトでも読むことができます。ぜひ、耳で、心で、美織とともに香り立つ旅をお楽しみください。(CV:小椋美織)【ストーリー】[シーン1:中部国際空港セントレアの到着ゲート〜名鉄電車のホームへ】◾️SE:飛行機の着陸音/中部国際空港セントレアのガヤ◾️SE:スマホの着信音「もしもし・・・あ、お父さん」「うん、いま着いたとこ。セントレア」「大丈夫。フランクフルトからセントレア直行便があったから」「モルドバから名古屋まで15時間よ」「あ〜、早くどぶろく飲みたぁい!」私は急いで、特急列車のホームへ向かう。名古屋駅から高山本線に乗り継いで・・・午前中に着いても、結局高山駅には夕方になっちゃう。私の名前は、美織。「美しさ」を「織りなす」・・と書く。名前負け?してないわよ。特急列車ミュースカイが発車するまで、父と私は話し続けた。「ママ?うん・・・すごくキレイだった」私がモルドバに行ったのは、ママのお葬式。話せば長いけど、私を産んだママは、モルドバの女性。私が生まれたとき、父は一之宮町の氏子。ママはモルドバからの留学生だった。父は無口な人だから多くを語らないけど、残っていた写真とか、ママからの手紙とか見ると2人はかなりラブラブだったみたい。でも、私が物心つく前にママはモルドバに帰った。そのときのモルドバは、親ロシア派大統領の就任で政情が不安定。両親を心配したママは、私と父を残して帰国してしまった。”ママが亡くなった”って連絡を、ママのママ・・つまりおばあちゃんからもらったとき。父は顔色を変えずに、「ママを、見送ってこい」と私を送り出した。結局ママが帰ってから20年以上経って、私はモルドバへ。初めて会うおばあちゃんは、私を見るなり、抱きしめて大泣きした。「Miori」「Miori」と私の名前を繰り返す。そのあとは何を言っているのかわからない。飛行機の中、ガイドブックで少しは勉強したけど、ルーマニア語なんて意味不明だもん。翻訳アプリもあまり当てになんないけど、どうやら「会いたかった」「愛してる」って言ってたみたい。イエ、という質素な民族衣装を着て、何度も何度も抱きしめる。そのあとも時間はそんなになかったけど、少しだけお話ができた。もちろん、翻訳アプリを使って。おばあちゃんの名前は”Viorica”(ヴィオリカ)あれ?それって、ワインの名前じゃなかったっけ?香り高い白ブドウの品種。飲んだことないけど。アカシアやジャスミンのような白い花の香り・・グレープフルーツのフレーバー・・バラの花を彷彿とする風味・・ピーチのような味わい・・なんでそんなによく知ってるかって?だって私、ワインのソムリエを目指してるんだ。”Viorica”。あら、そうなんだ。モルドバではお酒だけじゃなくて、女の子の名前にもするのね。可愛らしい女の子につけるんですって。不謹慎だけど、口元がゆるむ。タイムスリップして見てみたいな。幼いおばあちゃんの、澄んだブラウンの瞳。”Viorica”。瞳を見つめながら名前の響きを反芻してたらなんだか、不思議な気分になってくる。なんだろう、この感覚・・・おばあちゃん・・[シーン2:名鉄名古屋駅】◾️SE:名鉄名古屋駅のガヤおばあちゃんの余韻が、そよ風のように頭の中に流れる。じっくり堪能することもなく、ミュースカイはあっという間に名古屋へ着いてしまった。ホームを出て階段を上り、高山本線の改札へ。話は外(そ)れるけど。私の住む一之宮町といえば「どぶろく特区」。飛騨一宮水無神社の氏子総代がどぶろくを醸造する。春分の日に仕込み、...

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