• ボイスドラマ「言霊」

  • 2025/02/13
  • 再生時間: 10 分
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ボイスドラマ「言霊」

  • サマリー

  • 『言霊』は、飛騨高山で生まれ育った少女・エミリが、幼い頃に発したたった一つの言葉——「わたし、東京の女子大にいく」——が、彼女の人生を大きく動かしていくお話です。「言霊(ことだま)」という言葉には、不思議な力が宿っています。強く願い、言葉にすることで、未来が変わることがある。時にその力は、本人も気づかないうちに道を示し、導いてくれるのかもしれません。物語の舞台は、飛騨高山。そして東京。厳しくも温かい家族の愛に支えられながら、少女が夢を叶えるまでの10年間。そして、人生の節目で迎えた家族との最後のひととき。夢を追う人にとっての励みになれば、大切な人との時間を振り返るきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。この物語は、Podcast番組『Hit’s Me Up!』 の公式サイトをはじめ、Spotify、Amazon、Appleなど各種プラットフォームでもお楽しみいただけます(CV:桑木栄美里)【ストーリー】<シーン1:エミリ8歳の冬>■SE/吹雪の音「わたし、東京の女子大にいく」10年前。8歳の私が、真剣な顔で父と母に宣言した。外は吹雪。暖炉の前で父の顔がほころぶ。「それを言霊にしなさい」「コトダマ?」「良い言葉を口にすると現実となる」「ふうん」「もう一回言ってみてごらん」「エミリは、東京の大学へ行く!」父が満面の笑みで大きくうなづく。こうして8歳から、私の長い長い受験生活が始まった。学校とダンスと受験勉強。ダンス、というのは私が1年前からはじめたクラシックバレエのこと。学校の授業が終わると、そのままダンススタジオへ入り、暗くなるまでレッスン。家に帰ってからは夕食後、夜遅くまで受験勉強を頑張った。だって、私が入りたい東京の女子大は超難関の有名大学。高校3年間の受験勉強くらいで入れるとは思えない。そもそも、どうしてその女子大へ行こうと思ったのか。それは、昨日のダンススタジオ。クラシックバレエを習い始めて1年が経とうとしていたとき。私は、右回転でピルエットをすると、どうしても軸足がぶれてしまう。何度やってもパッセが崩れ、着地してしまう私に、インストラクターがささやいた。「見ててごらん」そう言うなり、その場で左へ5回転、軸足を変えて右に5回転した。しかも彼女は目をつむって。軸足はまったくずれていない。華麗でしなやかでクールなテクニック。厳しい指導で有名なインストラクターは、右手をあげたポーズのまま、ゆっくり目をあけて私にウインクした。「この人みたいになりたい」私は幼い心に、固く誓った。先生のことをもっと知りたい。先生のこと、いっぱい教えて。そして、先生が東京のあの有名な女子大出身と知った。私の人生はこの瞬間から動き出したんだ。<シーン2:エミリ18歳の冬>■SE/吹雪の音学校、ダンス、受験勉強。例えるなら、血の滲むような10年間のルーティン。この間、受験勉強だけは1日も休んだことはない。そして10年後の春。私は母と2人、受験の結果を家のリビングで待っていた。受験したのは、超難関大学。あの女子大一択。10年前、父に言われた言霊を信じて。不合格、なんていう未来は私の中にはなかった。目の前にはノートパソコン。合否の発表は、インターネットの受験生専用サイトで、決まった時間に発表・配信される。私はいても立ってもいられず、学校を休んで朝からパソコンとにらめっこ。 父は仕事で出かけている。母と2人、パソコンの前に正座して、運命のときを待っていた。こんなとき、時間の流れはすごく早い。気がつけば、あっという間に発表1分前。ドキドキして心臓が止まりそうになる。ストレスで喉がカラカラになった。 10秒前。母と一緒に発表時間をカウントダウンする。3、2、1、ログイン! 受験者専用の特設サイト。画面いっぱいに番号が並んだ。13765、13984、13990・・・焦らず、焦らず。画面をゆっくりとスクロールする。 14001、14012、そして・・・14015!私の受験番号、14015番が下からゆっくりと現れた!「ママ!」そう言ったきり、しばらく言葉が出てこない。母も私も、無言で顔を見合わせ、瞳を潤ませる。そのとき、私のスマホが鳴った。着信...
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あらすじ・解説

『言霊』は、飛騨高山で生まれ育った少女・エミリが、幼い頃に発したたった一つの言葉——「わたし、東京の女子大にいく」——が、彼女の人生を大きく動かしていくお話です。「言霊(ことだま)」という言葉には、不思議な力が宿っています。強く願い、言葉にすることで、未来が変わることがある。時にその力は、本人も気づかないうちに道を示し、導いてくれるのかもしれません。物語の舞台は、飛騨高山。そして東京。厳しくも温かい家族の愛に支えられながら、少女が夢を叶えるまでの10年間。そして、人生の節目で迎えた家族との最後のひととき。夢を追う人にとっての励みになれば、大切な人との時間を振り返るきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。この物語は、Podcast番組『Hit’s Me Up!』 の公式サイトをはじめ、Spotify、Amazon、Appleなど各種プラットフォームでもお楽しみいただけます(CV:桑木栄美里)【ストーリー】<シーン1:エミリ8歳の冬>■SE/吹雪の音「わたし、東京の女子大にいく」10年前。8歳の私が、真剣な顔で父と母に宣言した。外は吹雪。暖炉の前で父の顔がほころぶ。「それを言霊にしなさい」「コトダマ?」「良い言葉を口にすると現実となる」「ふうん」「もう一回言ってみてごらん」「エミリは、東京の大学へ行く!」父が満面の笑みで大きくうなづく。こうして8歳から、私の長い長い受験生活が始まった。学校とダンスと受験勉強。ダンス、というのは私が1年前からはじめたクラシックバレエのこと。学校の授業が終わると、そのままダンススタジオへ入り、暗くなるまでレッスン。家に帰ってからは夕食後、夜遅くまで受験勉強を頑張った。だって、私が入りたい東京の女子大は超難関の有名大学。高校3年間の受験勉強くらいで入れるとは思えない。そもそも、どうしてその女子大へ行こうと思ったのか。それは、昨日のダンススタジオ。クラシックバレエを習い始めて1年が経とうとしていたとき。私は、右回転でピルエットをすると、どうしても軸足がぶれてしまう。何度やってもパッセが崩れ、着地してしまう私に、インストラクターがささやいた。「見ててごらん」そう言うなり、その場で左へ5回転、軸足を変えて右に5回転した。しかも彼女は目をつむって。軸足はまったくずれていない。華麗でしなやかでクールなテクニック。厳しい指導で有名なインストラクターは、右手をあげたポーズのまま、ゆっくり目をあけて私にウインクした。「この人みたいになりたい」私は幼い心に、固く誓った。先生のことをもっと知りたい。先生のこと、いっぱい教えて。そして、先生が東京のあの有名な女子大出身と知った。私の人生はこの瞬間から動き出したんだ。<シーン2:エミリ18歳の冬>■SE/吹雪の音学校、ダンス、受験勉強。例えるなら、血の滲むような10年間のルーティン。この間、受験勉強だけは1日も休んだことはない。そして10年後の春。私は母と2人、受験の結果を家のリビングで待っていた。受験したのは、超難関大学。あの女子大一択。10年前、父に言われた言霊を信じて。不合格、なんていう未来は私の中にはなかった。目の前にはノートパソコン。合否の発表は、インターネットの受験生専用サイトで、決まった時間に発表・配信される。私はいても立ってもいられず、学校を休んで朝からパソコンとにらめっこ。 父は仕事で出かけている。母と2人、パソコンの前に正座して、運命のときを待っていた。こんなとき、時間の流れはすごく早い。気がつけば、あっという間に発表1分前。ドキドキして心臓が止まりそうになる。ストレスで喉がカラカラになった。 10秒前。母と一緒に発表時間をカウントダウンする。3、2、1、ログイン! 受験者専用の特設サイト。画面いっぱいに番号が並んだ。13765、13984、13990・・・焦らず、焦らず。画面をゆっくりとスクロールする。 14001、14012、そして・・・14015!私の受験番号、14015番が下からゆっくりと現れた!「ママ!」そう言ったきり、しばらく言葉が出てこない。母も私も、無言で顔を見合わせ、瞳を潤ませる。そのとき、私のスマホが鳴った。着信...

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