• ボイスドラマ「風立ちぬ」前編

  • 2025/02/13
  • 再生時間: 13 分
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ボイスドラマ「風立ちぬ」前編

  • サマリー

  • 新しい環境、新しい出会い——春は希望と不安が入り混じる季節。主人公は新社会人として養護老人ホームで働き始めたばかり。そこで出会ったのは、ポール・ヴァレリーの詩を口ずさむ老人でした。仕事に追われ、睡眠不足と戦いながらも、彼女は前へ進もうとします。日常の中で見つけた、小さな「気づき」が彼女を大きく成長させていく——。「風立ちぬ。さあ生きねばならぬ」この言葉が彼女の心をどのように支えていくのか—【登場人物】・女性(22歳)・・・この春から新社会人一年生。養護老人ホームで働きながら来年社会福祉士の資格をとり、市の社会福祉協議会へ転職したいと考えていたが・・(CV:桑木栄美里)・老人(70歳)・・・5年前に長年勤めた不動産会社を定年退職。古希を迎えたのを機会に娘夫婦のすすめで養護老人ホームへ入居したが・・(CV:日比野正裕)<シーン1/老人ホームのエントランスロビー>(SE〜老人ホーム=病院のガヤと朝の小鳥)彼女: 「おはようございます!」 ◾️BGM/彼女: 養護老人ホームのエントランス。 掃除の行き届いたロビーを通って 今日も元気に出勤する。 老人: 「お、今朝も元気だねえ」彼女: 「あ〜、元気だけがとりえだって思ってるんでしょ」老人: 「ちゃうちゃう。今日も元気をもらえて若返るなあってこと」彼女: 「やだ、私の若さを持ってかないで〜」老人: 「あはははは。 風立ちぬ。さあ生きねばならぬ」彼女: 入居者の中で一番若いおじいちゃん。 いつもポール・ヴァレリーの詩を口にする。 この春入居したばかりで 元気いっぱい。 私も今年卒業して 施設で働き出した新人だから なぜか気が合うんだなあ。 だけど・・・ 実は、元気がいいのは朝の出勤時だけ。 夕方近くなってくると だんだんテンション下がってくるんだよね。 肩と腰の疲れもピークになってくるし。 これって・・・五月病? あ〜ん。もう〜だめだめ。そんなこと考えちゃ。 気持ちだけでもテンションあげてかないと。 にしても・・・ やっぱ疲れの原因は睡眠不足かなあ。 いやいや。 睡眠不足だから五月病になるわけで・・・ あ〜。 どっちにしても負のループ。断ち切らないと。老人: 「今日は早番かい?」彼女: 「そうよ〜、この笑顔を見られるのも夕方までってこと」老人: 「まあ、毎日一生懸命で疲れているだろうからな。 残業なんかはせずに帰ってゆっくり休みなさい。」彼女: あ。 やっぱりわかっちゃうのかなあ。 疲れは顔に出るもんねー。 とはいえ 私にはちゃんと目標がある。 1年間老人ホームで働きながら勉強して、 来年、社会福祉士の資格をとる! 合格率30%という 難関の資格だけど、がんばらなくちゃ。 私が卒業した四年生大学は、福祉系じゃなかったからね。 どうしても 1年以上の実務経験が必要になってくるんだ。 施設に入ったら すぐに初任者研修を受けて、いまはヘルパー。 社会福祉士になったら、市区町村の社会福祉協議会で働くつもり。 介護を受けたい人の相談を聞いて、少しでもお役に立ちたい。 まあ、今の仕事も同じだけどね。老人: 「あ、来年の社会福祉士試験のこと、考えてるな」彼女: 「なあに言ってるの?」老人: 「頑張るんだよ。応援してるから」彼女: 「ありがとう」彼女: こう言われるたびに うるっとしちゃう。 それを気づかれないようにして、食堂へ急いだ。 ラジオ体操のあとは 食事の介助。 みんなが朝食後 食卓でくつろいでいる間に お部屋を掃除する。 あら〜、入居者のベッド、だいぶんヘタってきてるなあ。 所長は新しいベッドに買い替えなきゃって言ってたけど 50人分もあるから大変だわ。 腰が痛い人、肩こりがひどい人。 柔らかいマットレスがいい人、硬いマットレスじゃないと眠れない人。 高い枕が好きな人、低い枕しか受け付けない人。 もう、たいへん。 みんなのリクエストに答えることができるのかなあ。 それと気がかりなのは、私自身、最近ひどい不眠症。 仕事はやりがいがあるけど、時間が足りなくて。 なのに 働き方改革で早く帰りなさいって言われるし。 ストレスがどんどん溜まっていく。 ...
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あらすじ・解説

新しい環境、新しい出会い——春は希望と不安が入り混じる季節。主人公は新社会人として養護老人ホームで働き始めたばかり。そこで出会ったのは、ポール・ヴァレリーの詩を口ずさむ老人でした。仕事に追われ、睡眠不足と戦いながらも、彼女は前へ進もうとします。日常の中で見つけた、小さな「気づき」が彼女を大きく成長させていく——。「風立ちぬ。さあ生きねばならぬ」この言葉が彼女の心をどのように支えていくのか—【登場人物】・女性(22歳)・・・この春から新社会人一年生。養護老人ホームで働きながら来年社会福祉士の資格をとり、市の社会福祉協議会へ転職したいと考えていたが・・(CV:桑木栄美里)・老人(70歳)・・・5年前に長年勤めた不動産会社を定年退職。古希を迎えたのを機会に娘夫婦のすすめで養護老人ホームへ入居したが・・(CV:日比野正裕)<シーン1/老人ホームのエントランスロビー>(SE〜老人ホーム=病院のガヤと朝の小鳥)彼女: 「おはようございます!」 ◾️BGM/彼女: 養護老人ホームのエントランス。 掃除の行き届いたロビーを通って 今日も元気に出勤する。 老人: 「お、今朝も元気だねえ」彼女: 「あ〜、元気だけがとりえだって思ってるんでしょ」老人: 「ちゃうちゃう。今日も元気をもらえて若返るなあってこと」彼女: 「やだ、私の若さを持ってかないで〜」老人: 「あはははは。 風立ちぬ。さあ生きねばならぬ」彼女: 入居者の中で一番若いおじいちゃん。 いつもポール・ヴァレリーの詩を口にする。 この春入居したばかりで 元気いっぱい。 私も今年卒業して 施設で働き出した新人だから なぜか気が合うんだなあ。 だけど・・・ 実は、元気がいいのは朝の出勤時だけ。 夕方近くなってくると だんだんテンション下がってくるんだよね。 肩と腰の疲れもピークになってくるし。 これって・・・五月病? あ〜ん。もう〜だめだめ。そんなこと考えちゃ。 気持ちだけでもテンションあげてかないと。 にしても・・・ やっぱ疲れの原因は睡眠不足かなあ。 いやいや。 睡眠不足だから五月病になるわけで・・・ あ〜。 どっちにしても負のループ。断ち切らないと。老人: 「今日は早番かい?」彼女: 「そうよ〜、この笑顔を見られるのも夕方までってこと」老人: 「まあ、毎日一生懸命で疲れているだろうからな。 残業なんかはせずに帰ってゆっくり休みなさい。」彼女: あ。 やっぱりわかっちゃうのかなあ。 疲れは顔に出るもんねー。 とはいえ 私にはちゃんと目標がある。 1年間老人ホームで働きながら勉強して、 来年、社会福祉士の資格をとる! 合格率30%という 難関の資格だけど、がんばらなくちゃ。 私が卒業した四年生大学は、福祉系じゃなかったからね。 どうしても 1年以上の実務経験が必要になってくるんだ。 施設に入ったら すぐに初任者研修を受けて、いまはヘルパー。 社会福祉士になったら、市区町村の社会福祉協議会で働くつもり。 介護を受けたい人の相談を聞いて、少しでもお役に立ちたい。 まあ、今の仕事も同じだけどね。老人: 「あ、来年の社会福祉士試験のこと、考えてるな」彼女: 「なあに言ってるの?」老人: 「頑張るんだよ。応援してるから」彼女: 「ありがとう」彼女: こう言われるたびに うるっとしちゃう。 それを気づかれないようにして、食堂へ急いだ。 ラジオ体操のあとは 食事の介助。 みんなが朝食後 食卓でくつろいでいる間に お部屋を掃除する。 あら〜、入居者のベッド、だいぶんヘタってきてるなあ。 所長は新しいベッドに買い替えなきゃって言ってたけど 50人分もあるから大変だわ。 腰が痛い人、肩こりがひどい人。 柔らかいマットレスがいい人、硬いマットレスじゃないと眠れない人。 高い枕が好きな人、低い枕しか受け付けない人。 もう、たいへん。 みんなのリクエストに答えることができるのかなあ。 それと気がかりなのは、私自身、最近ひどい不眠症。 仕事はやりがいがあるけど、時間が足りなくて。 なのに 働き方改革で早く帰りなさいって言われるし。 ストレスがどんどん溜まっていく。 ...

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