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雪渡り

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❄️『雪渡り』朗読 – 凍った雪原に響く、人と狐の交流譚🦊✨

純白の雪が大理石よりも堅く凍り、空も青い石の板のように滑らかに澄んだ、そんな特別な冬の日の物語へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『雪渡り』。

「堅雪かんこ、凍み雪しんこ。」

四郎とかん子の兄妹は、小さな雪沓をはいてキックキックキックと野原に出かけます。雪がすっかり凍って、いつもは歩けない黍の畑の中でも、すすきで一杯だった野原の上でも、好きな方へどこまでも行ける素晴らしい日。平らな雪面は一枚の板のようで、それが沢山の小さな鏡のようにキラキラと光っています。

森の近くまで来た二人は、大きな柏の木が立派な透き通った氷柱を下げて重そうに身体を曲げているのを見つけます。そして森に向かって高く叫びました。「狐の子ぁ、嫁ほしい、ほしい。」

すると森の中から「凍み雪しんしん、堅雪かんかん。」と言いながら、キシリキシリ雪を踏んで白い狐の子が現れます。それは紺三郎という名の、銀の針のようなおひげをピンと一つひねる小さな狐でした。最初は警戒していた四郎でしたが、狐の紺三郎が思いがけず礼儀正しく、しかも「私らは全体いままで人をだますなんてあんまりむじつの罪をきせられていたのです」と訴えます。

紺三郎は自分で畑を作って播いて草をとって刈って叩いて粉にして練って蒸してお砂糖をかけた黍の団子を二人に差し出し、さらに「この次の雪の凍った月夜の晩」に行われる幻燈会への招待状を手渡します。ただし、その幻燈会は「十一歳以下」という条件付きでした。

月日が過ぎ、青白い大きな十五夜のお月様が静かに氷の上山から登った夜、四郎とかん子は約束通り狐の幻燈会へと向かいます。林の中の空き地には狐の学校生徒たちが集まり、栗の皮をぶっつけ合ったり、相撲をとったり、小さな鼠位の狐の子が大きな子狐の肩車に乗ってお星様を取ろうとしたりしています。

燕尾服を着て水仙の花を胸につけた紺三郎の司会で始まる幻燈会。上映されるのは「お酒をのむべからず」「わなに注意せよ」「火を軽べつすべからず」という三つの教訓的な出し物です。太右衛門や清作が酔っ払って野原の怪しいまんじゅうやおそばを食べてしまった写真、わなにかかった狐のこん兵衛の絵、焼いた魚を取ろうとして尻尾を焼いた狐のこん助の絵が、足踏みと歌声に合わせて映し出されます。

「ひるはカンカン日のひかり、よるはツンツン月あかり、たとえからだを、さかれても、狐の生徒はうそ云うな。」狐の学校生徒たちが歌う校歌のような歌声が、月明かりの下で響きます。

二つの章から構成されるこの物語は、堅く凍った雪の上を自由に歩き回れる特別な日を舞台に、人間の子どもたちと狐たちの出会いと交流を描いています。四郎とかん子の純真さ、紺三郎をはじめとする狐たちの礼儀正しさと真摯さ、そして互いに対する偏見を乗り越えていく過程が、冬の美しい情景とともに綴られています。

雪がキラキラと光る野原、月光に照らされた青白い森、そして「キックキックトントン」という楽しいリズムに乗せて歌われる数々の歌。物語は読者を、雪の結晶のように繊細で美しい幻想的な世界へと誘います。登場人物たちの心の動きが丁寧に描かれ、疑念から信頼へ、警戒から友情へと変化していく様子が、冬の夜の静寂の中で静かに、しかし確実に進んでいきます。

凍った雪の上を渡りながら紡がれる、心温まる交流の物語。月夜に開かれる幻燈会で、四郎とかん子、そして狐の学校生徒たちがどのような体験を共にするのか、ぜひ朗読でお楽しみください。


#狐 #人と動物 #少年 #月

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