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サマリー
あらすじ・解説
1)あなたの若い日に
・12 章は伝道者(コヘレト)の言葉の総まとめである。
・父が子を諭すように、教師が生徒を諭すように言葉が紡がれている。
・未来から今日を見るなら、今日が誰にとっても一番若い日である。
・旧約時代の平均寿命は 40 歳~50 歳であったと言われている。
・「若い日」とは「わざわいの日が来ないうちに、また「何の喜びもない」という年月が近づく前」である。
・伝道者が伝えたいことは「あなたの創造者を覚えよ」である。
・2 節以降はポエムの世界で、避けがたい老いの現実が描かれる。
2)時の流れは止まらない
・アーモンドは春先に可憐な白い花を咲かせることから白髪をイメージさせるものと言われている。
・「永遠の家」とはお墓のこと
・6 節「銀のひもは切れ、金の器は打ち砕かれ、水がめは泉の傍らで砕かれて、滑車が井戸のそばで壊される。」は生命の象徴
・例外なく、この地上に命を与えられた者すべてが行き着く現実である。
・私たちは死をもって、この地上の歩みに一区切りつける。
・「人は神に帰る」ことは、すべてが終わってしまうわけではないことを暗示する。新約時代の私たちには、復活の出来事として知らされているが、旧約時代の人々には、まだ見ぬ希望であった。
・このような現実を前にして伝道者は「空の空。すべては空」と言う。
3)神の命令を守り生きる
・「空」とはヘブル語で「ヘベル」と言い時間の短いこと、はかないことを含み「空しい」「無意味」「はかない」「不条理」などが訳語としてあてられる。しかし、悲観的な人生を投げ出した言葉ではない。
・「空」によって表現したいのは、人間のいのちが限られた「束の間」であるということ。だからこそ、今をしっかり生きることが教えられている。しっかり生きるとは「神を恐れよ。神の命令を守れ」である。
・伝道者3:22「死後どうなるのか、誰が教えてくれよう」とあり、死後どうなるかは、我々人間は知りえないと率直に述べている。それでもすべてのことが神の手の中であるという確信が「神は、善であれ、悪であれ、あらゆる隠されたことについて、すべてのわざをさばかれるからである。」に込められている。
結)「空」の中を埋められる生き方を
・創造者を覚えるとは創造者を愛すること=大切に思うこと、創造された自分を、創造された隣人を大切にすること。