• 田舎坊主の七転八倒<医は仁術ー七転八倒さえできない>

  • 2024/10/03
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田舎坊主の七転八倒<医は仁術ー七転八倒さえできない>

  • サマリー

  • 平成27年1月28日、初不動の大祭を例年どおり開催しました。 その前日のこと餅まき用のお餅つきの際、私は腰に違和感を覚えました。もともと腰痛の持病はあったものの、いつもとは少し違う痛みなのです。しばらくたてば治るだろうと高をくくっていたのですが、痛みはだんだん強くなり、2月初旬に頼まれていたK町の公民館主催人権講演会には最強の鎮痛解熱剤と自分では思っているボルタレン錠を飲んで痛みを抑えお話しさせてもらいました。九十分間立ってお話しできるのか不安もありましたが無事講演を済ませることができました。 しかし腰の痛みはますます強くなり、2月中頃には車の運転もできなくなって妻の通院には義兄に運転をお願いしなければならないほどになっていました。 妻の通院から2日目、今度は右肩激痛のため右手が急にあがらなくなったのです。早速近くの整形外科でレントゲンを撮ってもらったところ、腰のすべり症と五十肩とのこと、リハビリを開始しました。ところがその2日後、左手中指の付け根の関節が異常に腫れ上がり、まるで左手甲にアンパンをのせたような状態になってしまいました。そしてその後まもなく今度は左手が全くあがらなくなったのです。その痛さたるや、両肩を引きちぎられるのではないかと思われるような痛みで、常に両手をお腹のあたり当てていることしかできないのです。この頃にはすでに食欲もなく、痛みのために寝ることもできず、椅子に座って寝る日が続きました。この間にも妻の介護はしなければなりません。 リハビリを2日続けて2日目の朝、私は39.2度の高熱を出したのです。娘にかかりつけの医院に連れて行ってもらい血液検査をした結果、即入院と言われました。しかし入院するには、まず妻の介護施設への入所を決めることや、私自身が関わっている保護司、患者会、難病相談窓口などへの多くの手続きを済ませなければなりません。私はとにかくあまりの激痛に早く入院したいと思っていましたが、手続きに丸一日かかってしまい、妻の入所を済ませた翌日、やっと公立N病院に入院することができました。 初診は内科で担当はN・T先生でした。来院後すぐ撮ったレントゲン写真を見ながら「多発性関節炎」と病名を教えていただきました。しかしその後念のためMRIとCTを撮りましょうということで、撮影後やっと入院室に案内されました。午前九時過ぎに来院して病室に入れたのは午後2時をまわっていました。 入院後痛み止めはボルタレンの徐放剤に代わりましたが、まったく鎮痛効果なく、あまりの痛さに「座薬がほしい」と、ついつい言っていました。もちろん夜は眠ることができず、翌朝6時の痛み止めの服用時間をまんじりともせずベッドの上で待っていました。   入院2日目の朝、N・T先生から呼び出しがかかり、正確な原因を調べる必要があるため造影剤を入れてもう一度CTを撮るというの話がありました。撮影後、すぐ説明があり私にもCT画像を見せてくれました。そしてN・T先生は病気の原因を確信したという表情で「腸腰筋膿瘍といってお腹の中の筋肉に七~九ミリ程度の膿のかたまりがあります。その菌が全身に回っていて関節に炎症を起こし高熱が出ています。治療法は抗生剤を約1~2ヶ月点滴投与するということになります。抗生剤の届きにくいところなので、じっくり治しましょう。」と話してくれました。 N・T先生は初診時、真剣な目元だけがみえるマスク姿だったのですが、CT画像の説明時にはマスクもなく、時折見せる笑顔は優しく、患者をこれほど安心させてくれる笑顔に、心から「治してもらえる、ありがたい」と思うことができた初めての経験でした。さらに若い女性の看護師さんから「絶対よくなるからね!」と力強く励ましてくれたことが、痛みを乗り越える大きな希望につながりました。 あとで調べてわかったことですが、「腸腰筋膿瘍」という病気はかなりの高齢者で免疫力が著しく低下した状態で発症することが多いそうですが、しかもその膿瘍ー膿のかたまりーは、手の拳一握りぐらいの大きさになって初めて発見されることが...
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あらすじ・解説

平成27年1月28日、初不動の大祭を例年どおり開催しました。 その前日のこと餅まき用のお餅つきの際、私は腰に違和感を覚えました。もともと腰痛の持病はあったものの、いつもとは少し違う痛みなのです。しばらくたてば治るだろうと高をくくっていたのですが、痛みはだんだん強くなり、2月初旬に頼まれていたK町の公民館主催人権講演会には最強の鎮痛解熱剤と自分では思っているボルタレン錠を飲んで痛みを抑えお話しさせてもらいました。九十分間立ってお話しできるのか不安もありましたが無事講演を済ませることができました。 しかし腰の痛みはますます強くなり、2月中頃には車の運転もできなくなって妻の通院には義兄に運転をお願いしなければならないほどになっていました。 妻の通院から2日目、今度は右肩激痛のため右手が急にあがらなくなったのです。早速近くの整形外科でレントゲンを撮ってもらったところ、腰のすべり症と五十肩とのこと、リハビリを開始しました。ところがその2日後、左手中指の付け根の関節が異常に腫れ上がり、まるで左手甲にアンパンをのせたような状態になってしまいました。そしてその後まもなく今度は左手が全くあがらなくなったのです。その痛さたるや、両肩を引きちぎられるのではないかと思われるような痛みで、常に両手をお腹のあたり当てていることしかできないのです。この頃にはすでに食欲もなく、痛みのために寝ることもできず、椅子に座って寝る日が続きました。この間にも妻の介護はしなければなりません。 リハビリを2日続けて2日目の朝、私は39.2度の高熱を出したのです。娘にかかりつけの医院に連れて行ってもらい血液検査をした結果、即入院と言われました。しかし入院するには、まず妻の介護施設への入所を決めることや、私自身が関わっている保護司、患者会、難病相談窓口などへの多くの手続きを済ませなければなりません。私はとにかくあまりの激痛に早く入院したいと思っていましたが、手続きに丸一日かかってしまい、妻の入所を済ませた翌日、やっと公立N病院に入院することができました。 初診は内科で担当はN・T先生でした。来院後すぐ撮ったレントゲン写真を見ながら「多発性関節炎」と病名を教えていただきました。しかしその後念のためMRIとCTを撮りましょうということで、撮影後やっと入院室に案内されました。午前九時過ぎに来院して病室に入れたのは午後2時をまわっていました。 入院後痛み止めはボルタレンの徐放剤に代わりましたが、まったく鎮痛効果なく、あまりの痛さに「座薬がほしい」と、ついつい言っていました。もちろん夜は眠ることができず、翌朝6時の痛み止めの服用時間をまんじりともせずベッドの上で待っていました。   入院2日目の朝、N・T先生から呼び出しがかかり、正確な原因を調べる必要があるため造影剤を入れてもう一度CTを撮るというの話がありました。撮影後、すぐ説明があり私にもCT画像を見せてくれました。そしてN・T先生は病気の原因を確信したという表情で「腸腰筋膿瘍といってお腹の中の筋肉に七~九ミリ程度の膿のかたまりがあります。その菌が全身に回っていて関節に炎症を起こし高熱が出ています。治療法は抗生剤を約1~2ヶ月点滴投与するということになります。抗生剤の届きにくいところなので、じっくり治しましょう。」と話してくれました。 N・T先生は初診時、真剣な目元だけがみえるマスク姿だったのですが、CT画像の説明時にはマスクもなく、時折見せる笑顔は優しく、患者をこれほど安心させてくれる笑顔に、心から「治してもらえる、ありがたい」と思うことができた初めての経験でした。さらに若い女性の看護師さんから「絶対よくなるからね!」と力強く励ましてくれたことが、痛みを乗り越える大きな希望につながりました。 あとで調べてわかったことですが、「腸腰筋膿瘍」という病気はかなりの高齢者で免疫力が著しく低下した状態で発症することが多いそうですが、しかもその膿瘍ー膿のかたまりーは、手の拳一握りぐらいの大きさになって初めて発見されることが...

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