『境界線』のカバーアート

境界線

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境界線

著者: 中山 七里
ナレーター: 山口 恵
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このコンテンツについて

映画化された『護られなかった者たちへ』に続く、社会派ヒューマンミステリー「宮城県警シリーズ」第2弾!
「誰にでも境界線がある。越えるか、踏みとどまるか」――中山七里
気仙沼市の海岸で女性の変死体が発見された。女性の遺留品の身分証から、遺体は東日本大震災の津波によって行方不明中の宮城県警捜査一課警部・笘篠誠一郎の妻だったことがわっかる。遺体の様子からその女性は発見前夜まで生きていたとわかり、笘篠はさまざまな疑問を胸に遺体と対面するも、遺体はまったくの別人だった。
捜査を続けているうちに新たな他殺体発見の一報が入る。果たしてこのふたつの事件の関連性はあるのか。そして、笘篠の妻の身元はなぜ騙られたのか。
東日本大震災による行方不明者と個人情報ビジネスという復興の闇と、震災によって引かれてしまった“境界線”に翻弄される人々の存在を照らし出す。「どんでん返しの帝王」・中山七里が挑む、慟哭必至の骨太の社会派ヒューマンミステリー小説。©2020 Nakayama Shichiri (P)2024 Audible, Inc.
ハードボイルド

境界線に寄せられたリスナーの声

総合評価
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ナレーション
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ストーリー
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津波が奪ったもの、残されたもの

津波が奪ったのは、人命や家屋だけではなかった。人々の道徳心や魂すらも洗い流してしまった。そのことが、この小説を通じて身に染みるように伝わってきた。

聴き終えた後、心の中で小さな波紋が何度も広がっていった。物語は災害と犯罪を題材にしているが、核心にあるのはもっと深い部分だ。人間が極限状態でどのように倫理観を保とうとするのか、あるいは保てないのか。その問いに触れるたびに、自分自身の内面もまた試されているように感じた。

犯人に対して抱くのは単なる憤りではない。むしろ、共感とも呼べない形容しがたい感情が胸の中で湧き上がる。その感情は、私自身の弱さや脆さに触れられるような痛みにも似ている。小説が作り出すこの感情の複雑さが、他のどの作品とも異なる体験を生み出している。

朗読は、まるで登場人物たちの感情が直接耳元に届いてくるかのようだった。声の抑揚や間合いが、登場人物の葛藤や絶望を生々しく伝え、その切実さがより強く胸に迫る。

災害や犯罪を描いているが、それだけでは終わらない。物語を読み進めるうちに、読者自身の倫理観や感情に問いを投げかける。その問いに対する答えは誰も持たないが、私たちはそれでも考え続けるべきなのだ。この作品が私にそう教えてくれたように。

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ラストがヤバイ!泣けました。

これは、面白い云々の作品では無い。
東日本大地震を生々しく描いた、記録として残しても良い作品だと思う。
出会えてよかった。

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忘れてはいけない

終盤にある津波の描写に圧倒された。
あの日、確かにテレビ越しではあったが私も津波を目の当たりにしたが、それはまるで映画のようで何か現実感の無いものであった。そこには確かに車が流されていく光景はあったが、その中に人のいない車ばかりであったからだろう。現実には目の前で人の乗った車があり、車にも乗っていない人の流される様子を見た人達も多かったと思う。それが知人だったり家族であったりしたら…と思うと身の毛がよだつ。人生観が変わるのも仕方がないのかもしれない。
忘れてはいけないという事を思い出した。

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帯の『骨太のヒューマンストーリー』

良かったです。
ナレーションの方も素晴らしいのは勿論、ストーリーも凄く胸打たれました。当時震災をテレビ越しに他人事のように見ていた自分でしたが、震災のリアルが声と文章を通してありありと伝わってきて、改めて人間の無力さ、震災の被災さを突きつけられたようでした。
不良と真面目君の距離感、そして最後に不良君が1人の人間の変わりように辛い感情を抱くシーンには何か胸にくるものがありました。
聴き終わった時、自然と
いや〜良かった、なんか良かった
と独り言を言ってました。

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震災で失ったもの

東北出身の自分には、震災の被害への暗澹たる思いと、復興ビジネスの闇については、以前から考えるところがあった。
この作品は、そうした暗い記憶と気持ちを思い出させつつ、人間の豪や性のようなものに胸をしめつけられた。
善や悪とは、いったい何であろうか。
あの日、失ったものは、たくさんの人の生命だけでなく、生き残ったものからも、いろいろなものを失わせた。
おそらく、もう一生それは取り戻せない。

あと、地方の出来の悪いヤンキーの子供たちが、そのまま地元のやくざになっていくような話は、あるあるだ。
そのあたりの話も、聴きながら苦笑いした。

中山さんの「護られなかった者たちへ」を読んだあとだったので、利根と五代がちらりと登場してきて嬉しかった。


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シリーズ2作目

とても良い作品です。3.11の知らなかった事も沢山しりました。当時関東にいて、あれだけ恐怖を味わい、いまだ胸がざわつくのだから現地にいた方々の思いや経験はいくばくのものかなど想像が出来るわけもないと思います。当該作品を聴く事で僅かでも現実を知り、心を寄せることが出来ればと思います。

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誰も悪くないのに

中山七里さんが書かれる罪人は訳ありで魅力的。
歴史的背景の中で描かれているので、またしばらく経ってからも読みたくなりそう。

護られなかった、、
の続編です。

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世の中の闇

震災で家族や仕事、住む場所を失くすということを
被災地の目線で考えさせられた。

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3.11の氷点下近い水温の濁流。流される赤いランドセルをただ眺めることしかできない絶望

震災で行方不明になった妻が海岸で自殺...そんなまさか?!自身も震災被害者であるベテラン刑事を襲った衝撃的な事件から始まり、最後は読者の期待を裏切らないドンデン返し。フィクションでありながら、この世界の新たな一面を知ることができたような喜び。素晴らしいコンテンツを生み出してくださることに感謝。

3作目も楽しみです。

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まだ何も終わってないのですね、震災は。

改めてそう感じます。忘れてはいけない。
出会えて良かった作品です。
淡々としたナレーションも好きです。

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